「スポーニングと水温の関係」ブラックバスのスポーニングを学ぼう!

ブラックバス習性生態

バスフィッシングを愛するアングラーのみなさん、こんにちは!今回の『釣りたいバス釣り日記』では、「ブラックバスのスポーニング」をテーマにお届けします。

ブラックバスは水温の変化に敏感で、湖や河川の表層水温が年間最低水温から約7℃上昇する頃に産卵を意識し始めます。

スポーニングは、大きく3つの段階に分かれています:プリスポーニング、スポーニング、そしてアフタースポーニングです。

最初の「プリスポーニング」は産卵準備期間を指し、水温の上昇とともにブラックバスは活発な捕食活動を始めます。

年間最低水温から約10℃上昇すると、オスは浅瀬に移動し、産卵床を整え始めます。その後さらに水温が2〜3℃上昇すると、メスが待機場所から浅瀬へ向かい、いよいよ「スポーニング」と呼ばれる産卵行動を開始します。

産卵を終えたメスは回復のため一時的に離れたり、再度産卵を行う個体も。オスは卵が孵化し、稚魚が成長するまで守り抜きます。こうした一連の行動を「アフタースポーニング」と呼びます。

春の自然を背景に繰り広げられるこの神秘的なドラマ、興味深いですよね?それでは、スポーニングの詳細データや釣りへの影響について掘り下げていきましょう!

では!!「スポーニングと水温の関係」ブラックバスのスポーニングを学ぼう!の始まりです(^O^)/


ブラックバスのスポーニングは3段階に分かれている!

春が訪れ、水温が上昇し始めると、ブラックバスにとって最も重要なイベントのひとつ、「スポーニング」の時期がやってきます。変温動物であるブラックバスは、命の危険を顧みずにシャローへ集まり、卵を孵化させるための準備を始めます。この季節は釣り人にとっても特別で、シャローに近づく大きなメスの存在に胸が高鳴る、まさに興奮のひとときです!

ブラックバスの産卵は「スポーニング」と呼ばれますが、このスポーニングには以下の3つの段階があります。

第一段階 プリスポーニング

第二段階 スポーニング

第三段階 アフタースポーニング

それぞれの段階において、ブラックバスの心理状態が異なるため、釣りのアプローチにも違いが必要となります。

春の産卵時期には、ブラックバスを3タイプに分けて考えることが重要です。バスの状態を正確に理解することで、より効果的な釣りを楽しむことができます。

では具体的に、ブラックバスのスポーニング行動について見ていきましょう!種類によって行動が異なるため、ラージマウスバスとスモールマウスバスのスポーニング行動を詳しく解説していきたいと思います。


「ブラックバスの産卵行動」スポーニング期のラージマウスバスの行動!

ラージマウスバスの産卵行動は季節が進むにつれて魅力的な変化を見せます。では、その詳細を見ていきましょう!

プリスポーニング期のラージマウスバスの行動!

湖や河川の表層水温が年間最低水温から約7℃上昇すると、ブラックバスは「スポーニング」(産卵行動)を開始します。ただし、すべてのブラックバスが産卵するわけではなく、成魚と呼ばれる大人のバスが中心となって産卵行動を始めます。

筆者撮影 産卵行動中のラージマウスバス

冬の間、深場で待機していたブラックバスは、障害物などをつたって移動します。この移動ルートは「バスのハイウェイ」とも呼ばれ、彼らは毎年同じルートをたどります。そして、待機場所は「コンタクトポイント」と呼ばれる特定の場所で、ここが産卵への準備の重要なポイントとなります。

コンタクトポイントになりやすい条件としては、水深3m前後でカバー(障害物)が存在する場所が挙げられます。この時期、ブラックバスは餌を捕食して体力をつけながら産卵の準備を整えます。この期間は「プリスポーニング」と呼ばれ、釣り人にとってはランカーバスを狙う絶好のチャンスです。大きな個体ほど早い段階でスポーニングエリアに入ってくるため、初期の動きを見逃さないようにしましょう!


スポーニング期のラージマウスバスの行動!

表層水温がさらに2℃ほど上昇すると、オスのブラックバスは産卵床を作るため、コンタクトポイントからシャローへ移動します。オスはヒレを使い、直径60cm〜1m、深さ約20cmのベッド(産卵床)を湖底に掘って整えます。このベッドは丸く白っぽくなり、水底が見えるので簡単に発見できるはずです。

さらに水温が1〜2℃上がると、メスのブラックバスがシャローへ移動し、オスが作った産卵床を確認する「クルージング」を始めます。オスは、自分の作ったベッドにメスを招き入れるため、メスの体を押す行動が見られることも。ただし、どのベッドで産卵するかはメスが決定します。

産卵床は通常、砂底の水深50cm〜1mの場所に作られますが、対応力のある個体は人工物を利用することもあります。メスは気に入ったオスと産卵床を見つけると、約3日間ベッドに留まり、オスがメスのお腹を突いて産卵を促します。そしてペアリングしたバスは、いよいよ産卵を開始します。


アフタースポーニング期のラージマウスバスの行動!

産卵が終わると、メスのブラックバスは数日間産卵床に留まり、その後コンタクトポイント周辺や同じくらいの水深でサスペンド(中層で漂う)しながら体力を回復させます。

一方、オスのブラックバスはホルモンバランスの影響で食事をとらず、産卵床にある卵を守り続けます。ブルーギルやコイなどの外敵から卵を守るだけでなく、孵化した稚魚もしばらくの間見守り続ける健気な姿を見せます。

水温が22℃を超えると、産卵のシーズンはほぼ終了します。この期間は「アフタースポーニング」または「ポストスポーニング」と呼ばれています。


「ブラックバスの産卵行動」スモールマウスバスのスポーニングの行動

スモールマウスバスの産卵行動もラージマウスと同じく季節が進むにつれて魅力的な変化を見せます。では、その詳細を見ていきましょう!

スモールマウスバスのプリスポーニングの行動

ブラックバスの種類によって、スポーニング行動にはどのような違いがあるのでしょうか?今回はスモールマウスバスを例に挙げて、その行動の違いを詳しく見ていきましょう。

ラージマウスバスは、水温が約14℃に達すると産卵のためにシャロー(浅場)へ移動します。彼らは主に2m〜3mの水深にあるカバー(障害物)に接触しながら、産卵の準備を進めます。

スモールマウスバスの産卵行動

一方、スモールマウスバスは表層水温が約10℃になると産卵行動を開始します。興味深いことに、スモールマウスバスはラージマウスバスとは異なり、より深い水域で行動する傾向があります。具体的には、約6m前後の水深に位置するストラクチャーに絡むカバーをコンタクトポイントとして選ぶことが多いです。


スモールマウスバスのスポーニングの行動

スモールマウスバスはラージマウスバスと比べて低水温を好むため、産卵時期も少し早めに訪れます。水温が約12℃になると、産卵行動を開始します。

彼らのスポーニングベッドは、通常、小砂利や粘土質の地質が特徴的な2m〜3mの水深に作られます。そして、水温が約19℃になると産卵のピークを迎えます。この低水温を好む性質は、スモールマウスバスの生態を理解する上で興味深いポイントですね。


スモールマウスバスのアフタースポーニングの行動

スモールマウスバスも産卵を終えると、深場へ移動して体力の回復を図ります。通常、5mほどの水深でサスペンド(中層で漂う)しながら静かに回復期間を過ごします。

また、スモールマウスバスの場合、水温が約20℃に達した頃にはアフタースポーニング期に入っていると考えられます。この時期には捕食行動も徐々に活発になり、体力を整えるための重要な時期となります。


ブラックバスの卵は産卵後、水温が18℃あるなら4日ほどで孵化する!

ブラックバスの産卵後、卵が孵化するまでの期間は、水温によって変化します。例えば、水温が約14℃の場合、孵化までにおよそ10日かかりますが、水温が18℃を超えると、孵化は約4日と短くなります。このような短い孵化期間は、卵を狙う外敵によるリスクを軽減する重要な要素となります。

水温14℃ 孵化するのに10日前後
水温18℃ 孵化するのに4日前後
水温による孵化の期間

ブラックバスのメスが産む卵の数は個体差が大きく、体重1ポンドあたり2000個〜7000個と幅広く報告されています。さらに、一部のメスは複数回に分けて多くの卵を産むこともありますし、一度の産卵で全てを産む個体もいると言われています。

浅瀬に産卵床を作るのは、短い期間で孵化を促すことで外敵の影響を最小限に抑えるためのブラックバスの戦略とも言えます。この季節には、ブラックバスの命をかけた産卵行動が生態系のドラマとして展開されるのです。


オスのブラックバスは子煩悩! 稚魚を1カ月も健気に守り続けます!

ブラックバスの卵が孵化すると、透明で長さ約3mmの稚魚が誕生します。孵化後、稚魚は卵の中に含まれている卵黄をすべて吸収するまでの約6〜7日間、巣の中にとどまり成長します。

その後、稚魚たちはスクール(群れ)を形成し始め、動物プランクトンを食べながら徐々に成長していきます。こうした稚魚は「FRY(フライ)」と呼ばれます。

ブラックバスの稚魚(フライ)

オスのブラックバスは孵化した稚魚を約1カ月の間、外敵から守り続けます。この期間、オスのホルモン分泌は特別な状態にあり、空腹を感じなくなるため、稚魚の保護に専念することができるのです。稚魚が十分に成長すると、ベッドを離れて自立の道を歩み始めます。


大潮に産卵すると言うが月齢とスポーニングに本当に因果関係があるのか?

ブラックバスのスポーニングには、新月や満月の大潮が影響を及ぼすと言われることがあります。しかし、ミシシッピー州立大学 野生生物・水産養殖学部のハロルド・シュラム博士による研究では、ブラックバスの産卵行動や釣果に月齢が影響を与えるという明確な証拠は見つかっていません。

実際、多くのバスアングラーの間では、スポーニングと月齢の関係について強い先入観があるようです。特に満月と釣果の関連性を強調する声が多い一方で、新月が重要だと主張するアングラーもいます。しかし、バスの孵化に関わる専門家たちは、特定の月齢とスポーニング行動との間に顕著な関係性を示す証拠は見いだせないと指摘しています。

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養殖池で行った調査データ

このデータは、ミシシッピー州の野生動物・養殖協会の専門家とパークス北ミシシッピー孵化場の専門家が行った研究に基づいています。彼らは野外の養殖池を用いて調査を行い、そのデータを解析した結果を示しています。

新月の1日と28日、そして満月の14日を見ると、ブラックバスのスポーニング行動が少ないことがデータから明らかになっています。この結果は、月齢とスポーニング行動には明確な相関関係がないことを裏付けるものと言えるでしょう。

従来、満月や新月が産卵行動を促すと考えられてきましたが、このデータはその見解に一石を投じています。バスアングラーの間では月齢を重視する声も多いものの、実際にはスポーニングのタイミングは月齢だけでなく、環境要因や水温など、より複合的な要因に影響を受けている可能性が示唆されます。

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養殖池で行った調査データ

2013年と2014年に実施された調査結果でも、ブラックバスのスポーニングと月齢の間には相関関係がないことが確認されています。この研究により、長年信じられてきた月齢の影響について再考する必要があることが示唆されています。

※スポーニングと大潮の関係について、アメリカのバスプロ達の経験から感じられた事をまとめた記事です。コチラの⇩記事をあわせて読むことで、スポーニングと大潮の関係について別の角度から学べます。


何度もネストのオスバスを釣ると90%の確率でベッドを放棄する!

カールトン大学のWilliam Twardek氏とDr. Steven Cooke、そしてイリノイ自然史調査のDr. David Philippが、ラージマウスバスのネストフィッシング(巣を狙う釣り)の影響を研究しています。

この実験は、自然湖であるロングレイク(面積70ヘクタール)で実施されました。この湖は一般公開されておらず、1998年からラージマウスバスのスポーニング行動の研究に使用されています。ロングレイクは、堅固な基盤や豊富なストラクチャー(構造物)、そしてウッドカバーが沿岸地帯全体に広がっており、ラージマウスバスの産卵に非常に適した環境となっています。

オスのブラックバスが巣から取り除かれると、稚魚はすぐに外敵である捕食者に狙われてしまいます。特に、産卵中にフィッシングプレッシャーが高い地域では、捕獲されたオスは肉体的なストレスや稚魚の喪失により、巣を放棄してしまうことが報告されています。

ラージマウスバスはベッド(産卵床)の場所に対する忠実度が高いことでも知られており、毎年同じ産卵場所に戻ってくる傾向があります。これは、過去にその場所で稚魚を育てることに成功した経験が影響している可能性があります。しかし、一度ベッドを放棄してしまったオスは、翌年には同じエリアのベッドに戻らない可能性があります。その代わりに、理想的とは言えない生息地を選ぶことが懸念されます。

 

2004〜2005年と2014〜2015年の産卵期に、それぞれ別々の実験が実施されました。各実験の初年度には、湖のシュアラインに沿ってシュノーケルを用いて調査を行い、産卵床を守っているオスのブラックバスを特定しました。

その後、ボートからオスを釣り上げて、パッシブ統合トランスポンダー(PIT)タグを迅速に装着して個体を追跡。さらに、スポーニングベッドには番号の付いたタイルを配置し、その状態で翌年まで湖に残されました。

2004年の実験では、研究者たちは釣道具を使用して1日おきに巣を守るオスを捕獲し、激しいフィッシングプレッシャーを加えることで、稚魚の保護行動への影響を調査しました。

一方、2014年の実験では、ネスティングしているオスのブラックバスを産卵期に1度だけ捕獲し、その後の行動を観察しました。

各実験の2年目には、シュノーケリングを使用して再び産卵床を作っているオスを特定しました。この際、1年前に埋め込まれたPITタグによって個体識別が行われました。その後、巣の場所をマッピングし、前年の巣の位置と比較することでオスの行動を詳細に分析しました。

激しいフィッシングプレッシャーを経験したブラックバスは、スポーニングベッドの忠実度が低下することが明らかになりました。2004年の実験では、何度も捕獲されたオスの約90%がベッドを放棄しました。

翌年、産卵期に前年のベッドから10m以内の場所に戻ってきたのはわずか27%に過ぎませんでした。さらに、大半のバスは以前のベッドから50m以上離れた場所に新たなスポーニングベッドを作ることが観察されました。

対照的に、2014年の実験では産卵期に1回しか捕獲されなかったため、オスのベッドに対する忠実度は非常に高く維持されました。この結果、オスの約97%が繁殖に成功したことが確認されています。

さらに翌年、オスの約87%が前年のスポーニングベッドから10m以内の場所で再び産卵を行ったことが判明しました。このデータは、フィッシングプレッシャーが低い環境では、ブラックバスの産卵行動に対する忠実性が保たれることを示しています。

この研究結果は、産卵期の釣りによるプレッシャーがラージマウスバスの繁殖成功に深刻な影響を与える可能性があることを示唆しています。スポーニングベッドに付いている雄バスを釣った場合、その場で速やかにリリースすることが繁殖の保護にとって極めて重要です。

特に、ベッドから離れた場所でリリースしてしまうと、ベッドにある卵や稚魚が一定期間外敵にさらされるリスクが増大します。日本のブラックバスは自然繁殖によってしか数を維持できないため、アングラーの行動が未来のバスフィッシングにとって非常に重要です。こうした知識を共有し、繁殖を守るための行動を優先していきませんか?

この研究は、イリノイ大学の研究者であるTwardek氏、A.D. Schultz氏、J.E. Claussen氏などがオンタリオ州南部で実施したものです。彼らは、雄のブラックバスが産卵床を守る忠実度に対して、フィッシングプレッシャーがどのような影響を与えるかを調査しました。

研究では、キャッチアンドリリースによる高いフィッシングプレッシャーが、ブラックバスのベッドへの忠実度に著しい低下を引き起こすことを発見しました。特に、一度だけ捕獲されて放流された個体と比較して、将来の産卵サイクルにおける影響が顕著であることが示されています。

ResearchGateにはラージマウスバスの繁殖生態や人工産卵床に関する詳細な研究論文があります。例えば、人工産卵床を利用した駆除技術や巣の形成条件の考察などが紹介されています。これらの資料は、産卵期のラージマウスバスのベッドの忠実度に関する洞察をさらに深めるのに役立ちます!


おわりに

今回はブラックバスの産卵行動、スポーニングについて紹介しました。ブラックバスの生態を知る事で釣りのアプローチにも役立つと思いますし、ブラックバスの事が生き物としても魅力的に感じて貰えたと思います。

日本では自然の産卵行動でしかブラックバスが増えない為、この時期の釣り方に賛否が分かれると思いますが、不可抗力で釣れてしまう場合もありますが、ベッドを守っているオスは極力そっとしておいてあげたいとボクは思います。

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「スポーニングと水温の関係」ブラックバスのスポーニングを学ぼう!の記事があなたのバスフィッシングライフのサポートになれば幸いです。

では!! よい釣りを(^O^)/


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