ヒロ内藤氏が語るNASA宇宙鯉!魚にも「個性」はあるのか?

バス釣り雑記

バスフィッシングを楽しむアングラーのみなさん、こんにちは。今回の「釣りたいバス釣り日記」は、ヒロ内藤さんとのYouTubeコラボ企画で伺った内容を記事としてまとめました。
ボク自身が長年お聞きしたいと思っていたテーマ──NASAの宇宙鯉実験で見えた「魚の個性」や、バスフィッシングが未来へ向かうべき姿について、ヒロ内藤さんにじっくりお答えいただきました。

フィールドに立つすべてのアングラーが、一度は「絶望」に近い経験をしているはずです。目に見えるシャローのカバーに、圧倒的な威厳を放つビッグバスが潜んでいる。私たちは息を殺し、最高のアプローチで、これまで何度も魚を連れてきてくれた信頼のルアーを送り込みます。しかし、その魚はルアーが着水した瞬間に軽蔑するように鼻先を背けるか、あるいはそこに何も存在しないかのように完全な無視を決め込む。

「なぜ、あのバスは釣れないのか?」

この問いに対し、私たちは長年「ルアーのカラーが合っていない」「プレッシャーでスレている」「気圧が低い」といった、外的・統計的な要因に答えを求めてきました。しかし、もしその理由がもっと根源的な場所――つまり、その魚が生まれ持った「心」や「個性」にあるとしたらどうでしょうか。

「魚に心はあるのか?」「なぜ同じ条件、同じルアーで、これほどまでに釣果が分かれるのか?」

こうした普遍的な疑問に対し、科学の光を当て、宇宙規模の視点から一つの答えを提示したのが、ヒロ内藤氏です。彼が1990年代にNASA(アメリカ航空宇宙局)の宇宙実験のサポートに関わり、錦鯉の脳波を測定するという驚愕のプロジェクトを通じて得た知見は、私たちの「魚」という生き物に対する概念を根底から覆すものでした。

本稿では、ヒロ内藤氏が体験した「科学と釣りの交差点」を紐解き、魚たちが持つ驚くべき精神世界と、私たちが守るべき釣りの未来について、知的なストーリーとして掘り下げていきます。

では!! ヒロ内藤氏が語るNASA宇宙鯉!魚にも「個性」はあるのか?の始まりです(^O^)/


生物学者という名の最強アングラー:ケン・クックが証明した「近道の見つけ方」

バスフィッシングの歴史において、科学的なバックグラウンドがどれほどの武器になるかを証明した象徴的な人物がいます。バスマスタークラシック・ウィナーであるケン・クック(Ken Cook)氏です。彼はプロアングラーであると同時に、卓越した生物学者でもありました。

ヒロ内藤氏は、ケン・クック氏やジム・ビター氏といった、生物学的知見を持つアングラーたちの戦い方を間近で見てきました。ジャークベイトの達人として有名なジム・ビター氏もまた、フロリダ州政府のフレッシュウォーター&ゲームコミッションで長年フィールドスタディに携わり、数千、数万という魚を扱ってきた専門家です。彼らの強さは、単なる「経験則」の蓄積ではありませんでした。彼らは魚を「釣る対象」として見る前に、一つの「生命体」としての生理学的な必然性で捉えていたのです。

例えば、天候が崩れた際、多くのアングラーは「自分の経験ではあそこに集まるはずだ」という勘に頼ります。しかし、クック氏やビター氏は、養殖場や研究施設で大量の魚が特定の環境変化に対してどう動くかを仕事として観察してきた膨大なデータを持っていました。「この気圧変化なら、魚は生理学的にこのレンジへ移動せざるを得ない」という先読みができるのです。

ヒロ内藤さんによると、ケン・クック氏は「反応(リアクション)」の釣りの名手であり、スピナーベイトなどのルアーを駆使して、誰よりも早く正解のパターンに辿り着くそうです。彼は、魚が四季を通じて湖の中をどう移動し、どのような習性に基づいて行動するかを、生物学者としての理論で裏打ちしていました。無駄な回り道をせず、最短距離で魚に辿り着く。それは、魚の習性を「知っている」者の圧倒的なアドバンテージでした。

一方で、ジム・ビター氏がかつてクラシックのウイニングフィッシュとなるはずの魚を、検量直前で落としてしまった際のエピソードは痛切です。彼は魚のハンドリングにおいて、科学者としての絶対的な自負を持っていました。

ヒロ、俺は今までフレッシュウォーター&コミッションで散々フィールドスタディで魚をあんだけ取り扱ってきてね、1匹たりとも落としたことがないのになんで、最初の1匹がクラシックのウイニングフィッシュじゃなきゃいけないんだよ。

彼は魚が次にどう暴れるか、筋肉がどう収縮するかさえ予測できていました。その彼をもってしても防げなかった「不運」に、彼は深い衝撃を受けていたのです。

また、対照的な存在としてヒロ内藤氏は、ジャック・チャンセラー氏(ドゥーナッシングの提唱者であり、クラシックウィナー)を紹介します。チャンセラー氏に「なぜ今日その場所を選んだのか?」と問うと、彼は「朝、カラスが飛んでいったからだ」と答えました。一見、非論理的な直感に見えますが、ヒロ内藤さんはこれを「長年の経験から、気象の変化とカラスの動きを無意識に結びつけた、もう一つの正解」として敬意を払っています。

論理で説明可能なクック氏と、経験を身体化したチャンセラー氏。スタイルは違えど、どちらも魚の本質に迫ろうとする姿勢は共通していました。


NASA宇宙実験の衝撃:魚にも「閉所恐怖症」や「情緒不安定」がある

ヒロ内藤さんのバスフィッシング観を決定的に変えたのは、1990年代に行われたNASAの宇宙シャトルによる実験でした。宇宙空間で魚がどのような行動をとり、平衡感覚をどう保つかを調査するこのプロジェクトにおいて、ヒロ内藤さんは図らずも「バックアップ基地」としての重責を担うことになります。

きっかけは、ヒロ内藤さんの姉がアジア人女性初の宇宙飛行士の向井千秋さんであり、当時NASAのプロジェクトに関わっていた際、「弟は魚のことに非常に詳しい」と紹介したことでした。当初、ヒロ内藤さんは「自分は魚を逃がす専門(リリース)であって、生かしておく専門家ではない」と躊躇しましたが、自分でお役に立つのならと言うことで参画を決めます。

実験の内容は、現代の私たちが聞いても驚愕するものです。実験対象となる錦鯉の頭部には電極が取り付けられ、リアルタイムで「脳波」が測定されていました。ヒロ内藤さんは、見えない魚の「内面」が、NASAのモニター上で点滅する波形となって現れる様子を目の当たりにしたのです。

私たちは脳波を見てるんです。

ヒロ内藤さんが「魚にはまぶたがないのに、どうやって寝ているか起きているかを判断するのか」と問いかけられた際、答えあぐねていると、教授はそう答えました。魚には休息のサインとしての「閉じられる目」はありませんが、脳波は雄弁にその状態を語っていました。そして、宇宙に送るための選別試験に落ちた(落第した)個体たちの「カルテ」に記されていた診断結果は、ヒロ内藤さんを驚かせる内容でした。

そこには、人間に対して使われるようなメンタルに関する言葉が並んでいたのです。 「この個体は、筒状のケースに入れると脳波が激しく乱れる。閉所恐怖症である」 「この個体は情緒不安定である」 「この個体は**疑心暗鬼(警戒心が強すぎる)**である」

ヒロ内藤さんは、それまで「魚は種類ごとに一律の行動をとるものだ」と考えていました。10匹いれば、10匹とも種としての習性に従うロボットのような存在だと。しかし、NASAの科学が証明したのは、魚一匹一匹が持つ、驚くほど多様で、人間味さえ感じさせる「個性」でした。

現在もヒロ内藤さんの自宅には、当時の実験機材の一部が残されているといいます。それはアンモニアや亜硝酸を自然界ではあり得ないスピードで科学的に除去する、NASAのオーバーテクノロジーの結晶です。逆に驚くべきことに、当時のNASAは、アポロ計画時代の機材も大切に使われていたそうです。地球外で生命を維持するための極限のテクノロジーに触れた経験は、ヒロ内藤さんの中に「生命」という不可思議な存在への深い畏敬の念を植え付けました。


個性の発見:魚は10匹いれば10通りの「性格」を持っている

落第した鯉たちは、ヒロ内藤さんが管理するバックアップ用のプールにストックされました。愛知県の弥富から選ばれた見事な西錦鯉たちでしたが、研究チームはあえて名前をつけませんでした。「名前をつければ、情が移りすぎてしまう」という、部分が有ったのかも知れません。

ヒロ内藤さんは毎日この「落第生」たちを観察し、カルテの診断が真実であるかを検証しました。すると、驚くべき事実が次々と明らかになります。

「警戒心が強すぎる」と診断された個体は、内藤さんがプールの縁を歩くと、常に人の対角線上に位置するように泳ぎ、決して近づこうとしませんでした。内藤さんが足音を消し、地面を這いつくばって反対側から覗き込んでも、その個体は人の姿を捉えた瞬間に、また反対側へと逃げ去ってしまいます。他の魚たちが悠々と泳いでいる中で、その一匹だけが、明らかに世界を「疑って」いたのです。

この観察は、内藤さんに巨大なパラダイムシフトをもたらしました。

「僕たちがフィールドで対峙しているバスも、同じではないか?」

かつて、自信のあるポイントで、完璧なルアーを通したにもかかわらず釣れなかったあのデカバス。それは、ルアーが合っていなかったのではなく、その個体が持つ「徹底的に疑い深い性格」のせいだったのではないか。あるいは、他の魚が反応する状況でも、その一匹だけは「情緒不安定」でルアーどころではなかったのではないか。

サイトフィッシングをしている際、アングラーは時折「この魚は何か違う」と感じることがあります。それは単なる「学習(スレ)」の結果だけではなく、その魚が生まれ持った「個性」そのものなのです。「10匹いれば10通りの性格がある」という事実に気づいたとき、ヒロ内藤さんのバスフィッシングは「魚種を釣る」ことから「個体と知恵比べをする」ことへと進化しました。釣れないデカバスは、単に攻略不可能な対象ではなく、「どうすればあの疑い深い性格を出し抜けるか」という、最高に知的なチェスのような対戦相手となったのです。


科学者の警鐘:滅びゆく地球と、再生へのシナリオ

NASAでの経験は、内藤さんに釣りの技術だけでなく、地球規模の環境に対する鋭い視座も与えました。実験に関わった科学者たちは、現在の人間活動が続く限り「地球は一度死ぬ星になる」という、衝撃的な未来予測を口にしていました。

彼らによれば、人類が生き残る道は二つしかないといいます。 一つは、地球上に完全密封型のドームを作り、汚染から遮断された環境で生きること。 もう一つは、宇宙空間へ脱出し、地球が自浄作用によって再生するのを待つこと。 宇宙開発に力を入れる科学者たちの根底には、人類存続のための極限のバックアッププランがあったのです。

ヒロ内藤さんはこの話を聞き、現在の環境変化に強い危機感を抱くようになりました。彼はアインシュタインの「ミツバチがいなくなれば、人類は2年で滅びる」という言葉を引用し、農業における受粉の重要性と、それを支える生態系の脆弱さを指摘します。

さらに内藤さんは、身近な光景の中にある「静かなる崩壊」に言及します。かつて田舎のコンビニへ行けば、照明に集まる虫の死骸で車のフロントガラスは真っ白になり、ワイパーを動かさなければ前が見えないほどでした。しかし今、コンビニの灯りに虫が集まる光景は激減しました。フロントガラスも汚れなくなりました。私たちはそれを「清潔になった」と喜びますが、内藤さんはそこに潜む「つけ」の大きさを危惧しています。生態系の底辺を支える虫がいなくなることは、そのまま魚の、そして人類の未来を削っていることに他ならないからです。

また、博物館に保管されている1950年代の魚の標本からもマイクロプラスチックが見つかっているという事実は、私たちのルアーフィッシングが、環境問題と無縁ではいられないことを突きつけています。私たちが「当たり前」に楽しんでいる釣りは、実は極めて脆いバランスの上に成り立っているのです。


1人の声は「0」ではない:未来のバス釣りを文化にするために

環境問題や、バスフィッシングを取り巻く厳しい逆風を前にしたとき、多くの人は「自分一人くらいが何かを言ったところで、何も変わらない」と諦めてしまいがちです。しかし、ヒロ内藤さんはその考えを真っ向から否定します。

かつて行政がパブリックコメントを募集した際、多くのアングラーが「無駄だ」と口にしました。それに対し、内藤さんは力強い言葉を投げかけました。

「確かにあなたの1人の意見で世の中が変わるほど甘くない。だけど、1人の『0に等しいかもしれない意見』は、決して0ではないんです。100、1,000という大きな力は、最初の1がなければ決して生まれません。1がなければ、2も3もない。最初の一人が声を上げることが、すべての始まりなんです」

ヒロ内藤さんの信念は、彼自身のアメリカでの過酷な挑戦から導き出されたものです。

諦めた段階でやっぱ終わってると思う。

「もう一度だけやってみよう、ダメならその時に諦めよう」――その繰り返しの先に、道は開けていくのです。

バスフィッシングを、単なる「魚を釣る遊び」で終わらせてはいけません。ヒロ内藤さんは、それを人生にゆとりをもたらす「文化」へと昇華させるべきだと説きます。文化とは、テストを受けて資格を得るようなものではありません。「この遊びがあるから、自分の人生は豊かなんだ」と胸を張って言える人が増えたとき、それは誰にも壊せない揺るぎない文化になります。

他人任せにせず、一人一人が「人任せにしない」という意識を持ち、この釣りの素晴らしさを伝えていくこと。それが、次の世代にこのフィールドを繋いでいく唯一の道なのです。


明日、フィールドへ向かうあなたへの問いかけ

NASAの実験で明らかになった「魚の個性」から、地球規模の環境問題、そして「文化」としての釣りのあり方まで。ヒロ内藤さんが語る物語は、私たちの視点を水面下から宇宙空間へ、そして遠い未来へと広げてくれます。

魚は、私たちが考えていた以上に複雑で、豊かで、そして繊細な存在です。彼らには心があり、性格があり、一匹ごとに異なる「物語」を持っています。科学の目で見れば、それは脳波の波形として記述されるかもしれませんが、アングラーの目で見れば、それは私たちが挑むべき「最高に知的な、個性ある生命」に他なりません。

あなたが次にフィールドへ立ち、ラインの先にいるバスと対峙したとき。 その魚を単なる「獲物」や「確率の一部」として見るのか。 それとも、宇宙の深淵にも通じるような、独自の個性を持った「生命」として敬意を払うのか。

あなたの意識が一つ変わるだけで、フィールドの景色は、そして釣りの深さは劇的に変わるはずです。

さあ、明日フィールドへ向かうあなたに問いかけます。 「次にラインの先にいるバスと対峙したとき、あなたはその魚にどんな『個性』を見出しますか?」


おわりに

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では!! よい釣りを(^。^)y-.。o○


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