今回のルアーの歴史と起源は、プラスチック素材で作られたプラスチックワームの歴史と起源を紹介したいと思います。
ワームの歴史を辿ると、1800年代までさかのぼる事になります。当時作られたワームは生ゴム素材のワームでした。現在のプラスチック素材のワームが誕生するのは、更にずっと後の1940年代になってから完成されます。
プラスチックワームが誕生した後は、ワームの形状に対して各メーカーが試行錯誤する様になり、ワームに臭いを付ける事も考え出されます。
現在、プラスチックワームは多くのアングラーが、頼りにしているルアーカテゴリーでは無いでしょうか、ワームの魔力のおかげで沢山のバスを手にされた方も多いと思います。
では!! 生ゴムからプラスチックへ!プラスチックワームの歴史と起源!の始まりです(^O^)/
1877年に作られた最初のワームは生ゴム製だった!!
現在、ボクたちがバス釣りで使っているワームは柔らかなソフトプラスチック素材で出来ているのですが、しかし、1877年にパテント修得されているプラスチックワームの原点と言えるワームの素材は当時、生ゴムの素材で作られたワームでした。
当時の生ゴム素材のワームは硬かったので釣りとしてワームは普及しなかったようです。1900年代に入ると豚の皮脂と皮で作られたポークリンドが使われるようになります。
1915年になるとポークリンドは写真のようなアル フォス氏が作り出したスピナーが付いたジグヘッド、PORK RIND MINNOWと組み合して使われていました。ラバージグもこの時代には、まだ登場していません。
アル フォス氏はポークリンドの創始者で1916年にジグと共にポークリンドも販売します。天然素材で柔らかく、多様な動きが出せるポークリンドが優れていた為に、しばらくの間は、ワームの開発、発展はすることがなかったそうです。
※アル フォス氏の事を更に知りたい方は下記のリンクから詳しい情報を見る事が出来ます。
1930年代のワームはクルマのタイヤのゴムを裂いてワームを作ってた!!
1930年代のアメリカは自動車産業が発展して、たくさんの工場が建てられて工場地帯へと発展していく地域も生まれます。
アメリカ・オハイオ州は自動車のタイヤの製造が盛んに行われた地域で自動車のタイヤで有名なグッドイヤー社もありました。そのグッドイヤー社でジッターバグやフラホッパー等の歴史に残る有名なルアーを世に送り出したフレッド・アーボガスト社を作るフレッド氏が働いていました。
1930年代、当時の釣り人がタイヤを細く切り裂いてワームのようにして使う人が現れ始めます。そんな中、フレッド・アーボガスト氏はフラ・ラバースカートを考え出します。
当時アメリカではハワイアンミュージックやダンスが流行っていたそうで、ハワイアンショーを観賞していたフレッド・アーボガスト氏はフラダンサーの衣装からヒントを得て作ったそうです。
1937年にはフレッド・アーボガスト氏はラバースカートの特許を修得します。ラバースカートの発明でラバー素材のルアーがルアー発展に拍車を掛けて行くのであります。ラバースカートの特許が切れるまでフレッド・アーボガスト社は独占的に販売し利益を上げたそうです。
プラスチックワームの誕生は餌のミミズを探すのが面倒だったから!
1940年代のアメリカの多くのバスアングラーがライブナイトクローラー、日本で言うところの大ミミズで釣りをしていました。 しかし、餌にするミミズを掘って探すのに時間が掛かり、また、ブラックバスがバイトした直後には餌のミミズが無くなることがよくありました。
そんな状況を変えようとオハイオ州のアクロン出身の熱心なアングラーであるニッククリームは、バス釣りの常識を変えるアイデアに取り組みます。1949年にニック・クリーム氏がオハイオ州、アクロンにクリーム社を設立します。
ニック・クリーム氏はビニール素材のワームを製作、金型を使って大量に作れるシステムを作りあげます。ワームの原点になるCrème Wiggle Wormを作り出します。
ビニール素材のワームはゴム製とは違い、柔らかく動きのいいワームになりました。こうしてワームのカテゴリーが誕生したのです。
1951年に販売したCrème Wiggle Wormは1パック5個入りを1.00ドルで販売、ほんの数日で9600パックもCrème Wiggle Wormは売れたそうです。
クリーム社が作ったCrème Wiggle Wormは本物のミミズで型を取ったものらしく、ネーミングはそのまま、ミミズ=ワームというネーミングで販売したようです。
甘い香りのするワームのアイディアは社長の奥さん!ジェリーワームの歴史!
1954年にトム・マン氏がマンズ・ベイトカンパニーを創設します。1960年代には各ルアーメーカーがワームの販売をしてはいましたが、ビニールの臭いが酷くワーム自体の素材もまだ硬かったそうです。
1967年にトム・マン氏はワームを柔らかくする事を目標に素材を見直し出来上がったのが、ジェリーワームです。ジェリーのように柔らかいワームから名付けられたジェリーワームですが、プラスチックの臭いを消す為にフルーツの香りがするようにしました。
ジェリーワームの登場以前にも臭い付のワームはあったようですが、ワームにカラーに合わせて紫ならグレープ、黒ならブラック ベリー、赤はストロベリーとフルーツの香りが付けられました。
ワームにカラーを付けたアイディアもマンズ・ベイトカンパニーが最初で、3色のカラーを発売します。香り付けのアイディアは社長の奥さんの発案から出来たそうです
「販売したが撤退!」現代では当たり前に使われているリングワームの謎!
1960年代後半にはジョージ ペレン氏が立ち上げたレーベル社もワーム製造に参入してきました。レーベル社も、いかにワームをソフトで柔らかくし、ワームの動きをどうすれば良くなるのかを考えていました。
マンズ・ベイトカンパニー社がワーム素材から見直してワームを作り出したのとは違いレーベル社はワームの形状を変える事でワームを柔らかくする事を考え付きます。
レーベル社はワームのボデイにリング状のリブを付けることで、ワームをソフトにする事に成功して作り出されたのが、リングワームです。また、リングワームは形状的にバスが咥えた時にワームを離し難いメリットもありました。
レーベル社はリングワームのパテントを取ったのですが、セールスがイマイチだったのでレーベル社はワームの販売から撤退します。
レーベルはリングワームから撤退しましたが、その後にフェニックス社などからリングワームタイプのワームが発売され、今もリングワームの形状は存在します。
塩入ワームはゲーリーが元祖??1970年以降のワームの歴史!!
1972年にミスターツイスター社からカーリーテールのワームが登場します。テール部分を薄くしカールした形状にすることで独自のアクションを出すワームを作った事でミスターツイスター社は有名ブランドの仲間入りを果たします。
その後ミスターツイスター社は1982年にシェルドン社に買収されて、サッシーシャッドで再び成功を収めます。 そして、サッシーシャッドは現在のスイムベイトの基になるアイディアになります。
ゲーリーヤマモト氏はハワイで生まれ18歳でカリフォルニアの短大に入学してエレクトロニクスを学びますが、ゲーリーヤマモト氏はベトナム戦争で医療部隊としての服務します。帰国したゲーリーヤマモトはバス釣りトーナメントに参戦し良い成績を残します。
使用していたルアーに不満があったのでルアーを自身でも作りあげる為にTwin T’s社を手に入れてGary Yamamoto Custom Baitsを創設します。
Twin T’s社の顧客リストにスミスとティムコがあり日本からも販売し日本で大ヒットした後に、本場のアメリカで有名になります。
ワームメーカーはバスを釣る為に様々な努力をしています!
1980年代にジーン社は塩入りワームを作って成功します。ジーン社が味付きワームの元祖と呼ばれ、ワームに色々な味を付けることに挑戦します。
最初は砂糖で試したようですがイマイチ結果は得られなかったそうですが、次にチョコレートこれもダメで次はコカコーラと試しますが、これも失敗、失敗を重ねて最終的に塩に行き着いたそうです。
塩は表面がベタつかず保管に便利なので塩入りワームになったそうで、ジーン社の広告には塩は生物の味に近いと宣伝したそうです。
リバーサイド社は1970年代にオイル採掘で成功したゲイリーヒューズが80年代にアメリカに戻りフィッシュ・アトラクタント(集魚剤)を入れたワームをいち早く発売しビッククローは大ヒットします。
その後バークレイ社が本格的に味付きワームを手がけ、フィッシュ・フォーミュラなどの集魚剤が登場していきます。
ワームの問題点! 海洋に廃棄されるプラスチックは年間800万トン
プラスチックワームで問題になるのがゴミの問題です。世界ではプラスチック製の包装容器の95%が1回使用されただけで捨てられており、その経済的損失は年間800~1,200億米ドルにも上っているそうです。海洋に廃棄されるプラスチックの量は少なくとも年間800万トンにのぼりっています。
ワームの生分解技術はどの程度進んでいるのか見て行きましょう。1991年にエコギアが生分解、ルアーの開発を開始します。1998年(EーTUBE)モデリング完成 分解実験開始。2001年に国際つり博でエコギアが世界初の生分解性プラスチックソフトルアー(E-TUBE)発表します。
日本で生分解プラスチックはグリーンプラと呼ばれ、生分解性プラスチック研究(BPS)による識別表示制度が設けられています。製品の成分構成、生分解性、環境安全性などについて基準を満たしたものを「グリーンプラ製品」と認証しているそうです。また、2006年より日本釣り用品工業会による「環境保全マーク」制度がスタートしました。
近年はマイクロプラスチックの問題もあり2025年までには魚3トンにつき1トンの比率までプラスチックゴミが増え、2050年には、魚の数を上回ってしまう現実があります。
現在エコギアは完全生分解プラスチックの開発に取り組んでいるそうです。これから、プラスチックワームを取り扱うメーカーは特に環境に対してシビアな感覚が必要とされるでしょう。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございます。プラスチックワームが誕生した経緯を理解してもらえたでしょうか、プラスチックワームの誕生には思いのほか時間が掛かっていたのが意外だったと思います。
プラスチックワームは環境に与えるダメージが大きいので、生分解性プラスチックの研究が進み使い易いプラスチックワームの誕生が望まれます。釣り人としてはできるだけ、根掛かりを防止したりワームの身切れを防いだり個人的な努力ができる環境にやさしいアングラーでいたいモノです。
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生ゴムからプラスチックへ!プラスチックワームの歴史と起源!の記事があなたのバスフィッシングライフのサポートになれば幸いです。
では!! よい釣りを(^O^)/
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