バスフィッシングを愛しているアングラーのみなさん、こんにちは!今回の釣りたいバス釣り日記は、「メタルバイブ」と「ブレードルアー」の歴史と起源を紹介したいと思います。
遠投性に優れ沈下率の高いメタルバイブやブレードルアーは、冬の低水温期だけでなくサーチルアーとして使うとその機能を遺憾なく発揮してくれるルアーでもあります。
金属の板で作られたメタルバイブやブレードルアーの起源や歴史を辿ると、ヘドンのSONAR(ソナー)に行き着きます。1959年に登場したへドン社のソナーは、AC/DCシステムを組み込んだルアーです。
ルアーの歴史と起源を辿ると面白い事が見えてきます。金属で作られたメタルバイブはジグと同じように、登場した年代が古い様に思われます。
しかし、バイブレーションルアーが登場したのが、1920年代後半のPICO社のフレッドニコラスが開発した「PIGGY ・PERCH」 (ピギーパーチ)が最初と言われていますから、バイブレーションルアーの方が先に誕生している点が面白いです。
複数のラインアイを持つルアーは、ソナーが最初だと思われている方もいると思いますが、実はそうではなく、1900年代の初頭には、クリークチャブ社がマルチプルアイを作り出しプラグに組み込んでいます。
では!! 「ルアーの歴史と起源!」メタルバイブ、ブレードルアーの歴史!の始まりです(^O^)/
1959年に誕生!メタルバイブ、ブレードルアーの元祖はヘドンのソナーです!
全てのマティリアルが金属で出来ているメタルバイブ、ブレードルアーの元祖と言えば、へドン社のソナーになります。
SONAR (ソナー)は、1959年のヘドンカタログに初めて登場します。ソナーの特徴は、1つのルアーで表層からディープまでを、ラインアイの位置を変更する事でゾーンの変更が出来る画期的なルアーです。

発売当時のソナーのウェイトサイズは、3タイプのラインナップで構成されていました。現在は、2025年時点で、#431と#433が販売されています。
品番 | ウェイト |
#431 | 1/4oz |
#433 | 1/2oz |
#435 | 1oz |
ソナーには、ヘドン社から1957年に販売されたバイブレーションルアー「ソニック」に出来なかった機能を組み込みました。
それが、「AC/DCシステム」です。これにより一つのルアーでアクションの変化とルアーのリトリーブパスの深度の調整が出来るルアーが誕生します。では、「AC/DCシステム」について詳しく次の章で紹介したいと思います。
AC/DCとはアクションコントロール/デプスコントロールです!
1950年代のアメリカは、電力を確保する為にダム建設が行われていました。バスアングラーとして、この深くて広いエリアを効率的に攻めるためにどうするかを考えるのは当然の成り行きです。
そこで考え出されたのが、「AC/DC」です。当時のヘドンのカタログにも、「新しい魚の見つけ方」というキャッチコピーが記載されています。

AC/DCとは、AC(アクションコントロール)とDC(デプスコントロール)の略です。AC/DCは、上のカタログにも示されているように、ラインを結ぶアイの位置を変える事で、アクションの質も変える事ができ、更にトレースする深度を自由に変える事ができるシステムです。
近年、メタルバイブレーションとブレードルアーが、混同されて語られている事があります。リップレスクランクベイト (バイブレーション)を金属化し遠投性と沈下速度を向上したのがルアーがメタルバイブレーションです。
ブレードルアーは動きの幅やレンジ調整が出来るシステムを組み込んだルアーがブレードルアーです。なので、ラインアイが一つしかないモノがメタルバイブと言えます。
では、具体的にラインアイの位置を変える事でどの様な、アクションの変化とレンジが攻められるのかを下の図を使って説明したいと思います。

このように、ラインアイの位置によってウォブリングアクションの強さや攻めるゾーンを設定する事ができる事が理解されたと思います。しかし、AC/DCを教科書どうりに使う事だけではなく、表層をファーストリトリーブしたい場合は、ホール№1の状態で使う事で、ソナーをバーニングさせる事ができます。
また、逆も然りで、ホール№3の状態ではアクションが破綻する事なく、ゆっくりとディープをリトリーブして攻める事も可能です。
現在は販売されていない1オンスのソナー♯435には、ラインアイが4つ付いています。♯435の一番前方に付いているアイは、更に深いレンジを釣る為ではなく、ルアーの動きを抑えたトローリング時に使うためのラインアイです。
この画期的な機能AC/DCシステムを使い切るとアクションとレンジコントロールが、簡単に行う事が出来るのが分かります。
ヘドンのソナーを開発したのはチーフエンジニアのイールミラーさん
ロッド&リール誌に連載されていた、ヒロ内藤さんのコラム「ルアーふしぎ発見」にソナーの開発者イール・ミラー氏が紹介されていました。

更にヒロ内藤さんに、イール・ミラー氏ついて伺おうと、YouTubeのコメントから質問したところお答えして頂きました。イール・ミラー氏は、ルアー部門の責任者だけではなくロッド部門の責任者もされていた人のようです。

ヒロ内藤さんはイール・ミラーさんに会った事があるか質問した所、残念ながらヒロ内藤さんもイール・ミラー氏には、お会いしていないそうです。もしお会いしていたら更に詳しいお話が聞けたかもしれませんね。
1960年にはヘドン社はソナーのパテントを修得し、カタログにも掲載します。パテントを修得する事で他のメーカーはブレードルアーを作る事が許されず、ヘドンはブレードルアーに関して他のメーカーの追随を許しませんでした。
1961年にブレードルアーの素晴らしさに気付いていた、コットンコーデル氏が、パテントを回避したフラットヘッドのデザインで作り出した、「ゲイブレード」があります。ゲイブレードは、障害物を回避する為にダブルフック仕様にしています。
ヒロ内藤さんが、コットンコーデル氏に自身が作ったルアーの中でのおススメを訪ねた時に「ゲイブレード」を上げています。
ゲイブレードはソナーと違い、ヘッドがフラット形状で水を受けやすくなっているデザインで、へドンのソナーと比べてウォブリングアクションが強いルアーです。コットンコーデル自身が最高傑作と絶賛しているブレードルアーでもあります。
ゲイブレードのアイディアはコットンコーデル氏のモノではないとする説もあります。この辺りの話は、ボクが書いた「アメリカンルアーの歴史と起源」に綴っています。
ソナーのようなラインアイが複数あるルアーは昔から存在した!
冒頭でも触れたように、ソナーやゲイブレードのように複数のラインアイを持つルアーは、1900年代初頭にクリークチャブが開発した「マルチプルアイ」が最初に登場したルアーだそうです。

1916年に、ヘドンがピッグテールアイを採用します。豚の尻っぽのような形状が、カタログで確認できます。ピッグテールアイには問題点があった為、次にインチワームアイというシステムが採用されます。複数のラインアイの遍歴については下記の年表を参考にして下さい。
1900年代初頭 | クリークチャブ社がマルチプルアイを開発する |
1916年 | ヘドンがピッグテールアイを開発する |
1916年 | ヘドンがインチワームアイを開発する |
1958年 | へドン ソナーが販売 |
1959年 | ヘドン社がソナーのパテントを取得する |
1959年 | コットンコーデル社からゲイブレードが発売される |
1970年初頭 | リアにブレードが付いたブレードルアーが登場した |
1980年代後半 | へドン ソナーにラトル入りのラトリンソナーが販売 |
クリークチャブ社のマルチアイやヘドンのピグテールアイのような、複数のアイを持つことでどの様な効果があったのか、それは、ラインアイの位置によってルアーアクションが変化するからです。
これは、ボクの勝手な推測ですが、この時代のルアーデザイナーは作ったルアーをフィールドに持って行ってはテストして自分の目で、ルアーの動きを確認していたと思います。
ルアーのテスト中にラインアイの位置を変えるとアクションに変化が生まれる事を知ったことで、この機能を取り入れようと考えたのかも知れませんね。
日本製のルアーでも、複数のラインアイを持ち使い分ける事で、ルアーのアクションに変化を与えるルアーがありますが、歴史を遡ると1900年代初頭からあるとは驚きですね。
ソナーはバスだけではなくウォールアイやナマズ釣りにも使われていた
ソナーの広告には、バスだけではなく他の対象魚も釣れる事が記載されています。広告の冒頭部分では、「ヘドンのソナーをコピーした商品が多く見るので、このルアーの人気が分かるでしょう」と書かれています。

広告には、冬のアイスフィッシングでウォールアイやパーチを釣るのに最適とあります。ソナーをバーチカルジギングで使っても効果的だという事が分かります。また、この時代では1/8OZのソナーがラインナップに追加されている事が分かります。
他にも、ナマズやホワイトバス、ストライバーも狙えると記載されています。ソナーの懐の深さが感じられる広告です。
おわりに
今回のルアーの歴史と起源はメタルバイブ、ブレードルアーにスポットを当てて紹介してみました。60年以上も前のルアーが現在も形を変える事無く各種メーカーが販売されている点を見てもヘドンのソナーの完成度には驚かされます。
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また、Amazonからキンドル本「アメリカンルアーの歴史と起源」を販売しています。ルアーの誕生秘話や歴史に興味がある方は一読して下さい。キンドル・アンリミテッドに契約されている方は0円で読むことができます。
今回のルアーの歴史と起源の記事を読むことで皆さんのバスフィッシングライフがより良いものになると幸いです。
では!!よい釣りを(^O^)/
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