バスフィッシングを楽しまれているアングラーの皆さま、こんにちは!今回の「釣りたいバス釣り日記」では、スミスウィック社の名作ルアー「BO-JACK(ボージャック)」を徹底インプレッションいたします。
ご紹介するボージャックは、2005年にオフト社が仕掛けて復刻されたモデルです。発売前からプラドコジャパンニュースなどでもコラムが組まれるほど注目を集めており、当時のルアーファンの間では話題となっていました。
この時期のオフト社は、スミスウィック社のルアー復刻に力を入れており、ボージャックが販売された前年の2004年には、「オリジナルログ」や通称「デカログ」と呼ばれるARC1200の復刻も手がけております。
復刻にあたっては、スミスウィック社の二代目社長ジャック・A・スミスウィック氏に直接お会いし、当時の営業用サンプル全カラーと、氏が所有されていたボージャックを日本へ持ち帰ったうえで、忠実な再現が行われました。
復刻版には「オリジナルとアクションが異なる」といったクレームが寄せられ、現在では再販の予定もなく、あまり良いイメージを持たれていないルアーかもしれません。しかし、ボク自身はこのボージャックを今もなお使い続けており、実釣を通じてその魅力を再確認しています。復刻版ならではの個性や、チューニングによる変化を楽しめる点も、このルアーの大きな魅力だと感じています。
では!! スミスウィック「ボージャック」徹底解剖|復刻モデルの魅力!の始まりです(^O^)/
スミスウィック「BO-JACK」復刻モデルを実釣レビュー!ヒロ内藤チューンも紹介
2025年9月、改めて淀川にてボージャックを使用して釣行を行いました。残念ながら釣果には恵まれませんでしたが、実際に使用してみることで多くの気づきや発見がありました。

スミスウィック・ボージャックを使用する際に重要となるのが、トゥルーチューンの方法です。一般的にはラインアイの調整が知られていますが、ボージャックの場合はリップを手で曲げて調整する方法が紹介されています。リップには柔軟性に優れた酪酸塩セルロース(ブチレート樹脂)が使用されており、手で簡単に曲げることが可能です。ただし、気温が低い時期にはお湯で温めてから曲げることで、トラブルを防ぐことができます。
リトリーブ中にルアーが右に曲がる場合は、リップを時計回りに曲げることで補正できます。逆に左に曲がる場合は、反時計回りに曲げて調整します。リップの調整だけで補正が難しい場合は、ラインアイの調整も併用すると効果的です。

ボージャックは、フラットサイドクランクとラウンドボディの中間的な厚みを持つ、非常に珍しいタイプのシャロークランクベイトです。アクションは控えめなウォブリングで、タイトな動きを見せます。リップ形状はアイススプーンのような独特な形状をしており、水の掴みが非常に良いため、初動の動きも申し分ありませんでした。
実釣では、ウィードのアイソレートの際をリトリーブしたり、ウィードに少し突っ込ませてリトリーブするなど、さまざまなアプローチを試しました。スクエアリップとは異なり、リップがウィードに刺さるような感覚はありますが、絡まった場合でもロッドアクションを加えることで、うまく抜けてくれることがありました。
ジャークやトゥイッチングも試してみましたが、扁平なボディ形状の影響で、独特なアクションを見せてくれます。そのため、ステディーリトリーブ中に軽くトゥイッチを入れるような使い方が、ボクのお気に入りです。
なお、2005年に復刻されたボージャックは、内蔵ウェイトが鉛からブラスとスチールに変更されています。この変更により、1970年代のオリジナルモデルと比較してウェイトが軽くなっており、当時のアクションとは異なるという指摘が一部のユーザーから寄せられました。
ボク自身はオリジナルのボージャックを所有していないため、アクションの違いについては判断できませんが、今回インプレッションした復刻版ボージャックは問題なく動作しており、使用感に不満はありませんでした。
「限定1000個」直筆サインが入ったヒロ内藤チューンボージャックがあった!
復刻版ボージャックは、発売当初こそ大きな問題にはなりませんでしたが、次第に「オリジナルとアクションが異なる」といった声が広まり、結果的にプラドコ社からの再販が行われない状況となってしまいました。そのため、現在ではあまり良いイメージを持たれていないルアーとなってしまったのが残念です。
当時、このクレームに対してヒロ内藤さんがフィッシングショーで対応策を紹介されていたことを記憶しています。さらに、ヒロ内藤さんは復刻版ボージャックに対して独自の「ウェイトチューン」を施し、なんと1000個のルアーに直筆サインを入れてプレゼントされたこともありました。ボクは残念ながら持ってません。


この「ウェイトチューン」は、ルアーのテール部分に約2.2gの板オモリを貼り付けるという方法で、控えめだったアクションをより大きく、力強いものへと変化させる効果があります。ボク自身はタングステンシートを使用して調整しましたが、巻き抵抗が増し、アクションの印象も大きく変わりました。
このチューニングによって、復刻版ボージャックはオールドモデルに近い動きを再現できる可能性があるとされており、ヒロ内藤さんの深い知識と情熱が込められた対応だったと感じます。しかし、オールドのボージャックと比較していないので、チューニングしたボージャックがオールドのボージャックと同じアクションなのかは分かりません。
スミスウィック・ボージャックを楽しむ為のタックルセットアップ!
スミスウィック社のボージャックを最大限に楽しむためには、タックルセットアップにもこだわりたいところです。特にカバー周りでの使用を想定する場合、6フィートまでのショートロッドでミディアムアクション程度のモデルが扱いやすく、操作性にも優れています。
今回の釣行では、スミス社の「ヒロイズム・カプリコーンTW」を使用し、ベイトリールにはダイワの「スティーズSV TW 7.1」を組み合わせました。ラインには、ナイロンラインの「シルバースレッドSAR 20lb」を選択しています。

このセッティングは、ボージャックのアクションをしっかりと感じ取ることができ、ウィード周りでのリトリーブにも安定感がありました。また、PEラインにナイロンリーダーを組み合わせることで、感度をさらに高めることも可能です。
なお、ボージャックはナイロン20lb使用時で最大潜行深度が約1.5mとなります。さらに深いレンジを狙いたい場合は、ライン径を細くしたり、フロロカーボンラインに変更することで、潜行ゾーンを1フィートほど下げることもできます。
広範囲を巻いて探るスタイルであれば、6フィート半程度の長さでミディアム〜ミディアムヘビーアクションのロッドが飛距離も出て使いやすいでしょう。グラスコンポジットロッドを使用すればバラシを減らすことができ、カーボンロッドであれば感度を重視したカバー回避のクランキングが楽しめます。
スミスウィック・ボージャックの歴史とスペック
スミスウィック社のボージャックは、1976年に誕生し、1990年まで製造されていた歴史あるクランクベイトです。当時は3/8オンスと1/2オンスの2サイズが展開されており、カラーラインナップはなんと100色にも及んでいたそうです。
この豊富なバリエーションは、アングラーの多様なニーズに応えるために設計されたもので、当時のスミスウィック社がいかにルアー開発に力を注いでいたかがうかがえます。現在では入手困難なモデルも多く、コレクターズアイテムとしても高い人気を誇っています。

スミスウィック社の「BO-JACK(ボージャック)」というネーミングは、創業者ジャック・K・スミスウィック氏と、2代目社長ジャック・A・スミスウィック氏、両名の「ジャック」にちなんで名付けられたものです。1977年に掲載されたナショナル・バスマン誌の広告には、ボージャックの内部に市場唯一とされる「ブザー音」を発生させるラトルを搭載していることが強調されていました。

また、広告では「トゥルーチューニングが不要な、真のランニング性能を持つクランクベイト」として紹介されており、当時の技術力と自信が感じられます。ラトル音については、真っすぐ泳ぐガラガラヘビのような音と表現され、ボートに近づくとその音が聞こえ、フィッシュイーターが反応することで「ストリンガーが空で帰ることはない」とまで宣伝されていました。
ただし、実際にはラトル機能はコットンコーデール社が先に「スポット」シリーズでワンノッカーを採用していたため、完全な独自性とは言えない部分もあります。さらに、バグリー社の「バルサB」や、フレッド・ヤング氏の「ビッグオー」に対抗する形で、「ラトリン・バルサジャック」というモデルも登場していました。
このように、ボージャックはネーミングから内部構造、アクションに至るまで、当時のルアー業界の競争と革新を象徴する存在だったと言えるでしょう。
復刻版ボージャックの素材構成と潜行性能
2005年に復刻されたボージャックは、1/2オンスサイズのみが製造され、カラーラインナップは全30色が展開されました。ボディ素材にはABS樹脂(通称ボーン素材)が使用されており、オールドモデルと同様に、リップにはブチレート樹脂が後付けで装着されています。
通常、浮力を高めるにはリップ一体成型が合理的ですが、あえて後付けにすることで、より薄いリップの装着が可能となり、アクションのキレを向上させる効果があるとされています。前述の通り、復刻版のアクションがオールドモデルと異なるという指摘もありましたが、詳細なルアーデータがあれば、それもまた一つの個性として捉えることができます。

復刻版ボージャックの潜行性能については、ナイロンライン20lbを使用した場合、約3メートルのリトリーブで最大90cmまで潜行する設計となっています。これは、同じ潜行角を持つクランクベイトとして知られる「BO5SL ボーマー スクエアA」と近い性能です。
ただし、BO5SLは2インチ・3/8オンスであるのに対し、ボージャックは1/2オンスもあるので、ボージャックの方がキャスタビリティに優れている点が特徴です。
また、コットンコーデル社の「ビッグオーC78」や「C80」も似た潜行角を持つクランクベイトとして比較対象になります。特にC80は同じ1/2オンスながらサイズ感が大きく異なり、水押しの質も変わってくるため、ボージャックと使い分ける事によって釣りの幅が広がるルアーだと考えられます。
おわりに
スミスウィック社の「BO-JACK(ボージャック)」は、1970年代から1990年代にかけて多くのアングラーに愛された名作クランクベイトです。復刻版には賛否両論がありましたが、ヒロ内藤さんによるチューニングや、実釣を通じた工夫によって、その魅力を再発見することができました。
今回の釣行では、釣果こそ得られなかったものの、ルアーの特性や調整方法、タックルとの相性など、多くの学びがありました。ボージャックは、ただ巻くだけではなく、ジャークやトゥイッチング、ウィード回避など、アングラーの工夫次第で多彩な表情を見せてくれるルアーです。
復刻版の個性を理解し、適切なセッティングとアクションを加えることで、オールドモデルとはまた違った魅力を引き出すことができるでしょう。
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では!! よい釣りを((((oノ´3`)ノ
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