バスフィッシングを愛されているアングラーのみなさん、こんにちは!今回の「釣りたいバス釣り日記」は、現在のプラスチックワームの基礎を築き上げた人物であるCreme Lure Company(クリーム・ルアー・カンパニー)の創立者である「ニック クリーム氏」と「クリームワームの歴史」を紹介します。
ニック・クリーム氏は、1940年代に画期的なプラスチックワームを作り出すというアイデアを思いつきます。それは単なる発明にとどまらず、釣り業界に革命をもたらすものでした。
当時、彼は機械工として働いていましたが、釣りに対する情熱がその創意工夫の火を灯しました。彼の妻コズマさんもこの挑戦に寄り添い、夫妻は自宅のキッチンと地下室を拠点として研究と試行錯誤を開始しました。
ニック氏は、本物のナイトクローラーという大きなミミズを使い、それを基にした金型を作り出しました。この金型を用いることで、柔らかく、リアルな質感を持つプラスチックワームの大量生産に成功します。素材に対しても研究を重ね、より自然に近い動きと見た目を追求しました。その努力が実を結び、プラスチックワームは釣りの世界において新たな標準となる製品として認められていきました。
プラスチックワームの誕生はまた、テキサス州での釣り文化にも大きな影響を与えます。実際、この革新的な製品を活用することで「テキサスリグ」という新しい釣法が誕生しました。テキサスリグはカバーの多い場所でのバス釣りにおいて非常に効果的な方法として知られ、今でも多くのアングラーに愛されています。
さらに、ニック氏が創設したCreme Lure Companyは、他のルアーメーカーとは一線を画す取り組みを行いました。同社は業界で初めてフィールドテスターを雇い、自社製品の効果的な使用方法をアングラーに直接伝えました。これにより、釣り道具の実用性や信頼性が広く知られるようになり、ルアー市場における信頼を築く基盤となりました。
ニック・クリーム氏とその妻コズマさんの努力と情熱は、プラスチックワームという製品を超え、釣りの楽しさと革新性を新たな次元に引き上げました。その功績は現在も釣り人たちの心に生き続けています。
では!「クリーム・ルアー・カンパニー」クリームワームの歴史!の始まりです(^O^)/
1910年にCreme Lure Companyの創立者ニック クリーム氏が誕生!
ニック・クリーム氏は1910年に生まれ、1949年にはオハイオ州アクロンに居住していました。彼は典型的なアメリカの起業家として知られており、素晴らしいアイデアを持つだけでなく、それをやり遂げる決意と行動力を兼ね備えた人物でした。その成功の背後には、強い釣りへの情熱と実現への努力がありました。

ルアーメーカーとして名を馳せる前、ニック氏は機械工として働き、機械部品の製造を本業としていました。彼はブルーカラーの労働者として手を動かしながら、常に新しい可能性を模索し続けていました。このような背景から、後に釣り業界に大きな革新をもたらすことになる発明が生まれることとなります。
1940年代、アクロンは急速に成長する工業都市として知られていました。ニック氏のような人々が仕事を見つけ、収入を得て家を持ち、家庭を築くという典型的なアメリカンドリームを実現する場所でもありました。さらに、この都市では多くの人々が休日には釣りを楽しむことができる豊かな環境が整っていました。
当時の釣り人は、大物を狙う際にナイトクローラーと呼ばれる大きなミミズを餌として使用していました。しかし、ニック氏は、この餌に関する問題点に着目します。釣りの最中にミミズが魚に食いちぎられることや、新しいミミズを掘り出すために釣り場から離れる必要があることが、釣り人にとってストレスの原因になっていると考えたのです。このストレスを解消し、効率的かつ効果的な釣りを可能にする方法を模索することが彼の発明のきっかけとなりました。
そうしてニック氏は、釣りバリに簡単に付けることができ、リアルな見た目と柔軟性を持つ人工のナイトクローラーを作り出すことに着手します。そのアイデアを具現化するために、自宅のキッチンと地下室を拠点として研究を進め、数々の試行錯誤を経てついに革新的な製品を完成させるに至ったのです。この発明は、釣りの楽しさを新たな次元へ引き上げると同時に、釣り業界全体に大きな変革をもたらしました。
1940年代に自宅キッチンと地下室でプラスチックワームを開発する!
プラスチックワームが誕生する以前、釣り業界ではゴムを素材としてワームを作る試みが行われていました。しかし、ゴムは硬く、リアルな動きが得られなかったため、釣り人たちの需要を満たすことはできませんでした。そこで、代わりにポークリンドが広く使用されるようになりました。この素材は柔軟性に優れており、自然なアクションを生むため、多くの釣り人に支持されていました。
そのような背景の中、ニック・クリーム氏は釣り業界に革新をもたらすべく、大きな決意を持って動き始めます。彼は釣りの楽しさを更に高めるために、本物のナイトクローラーに代わる柔軟でリアルな人工ワームを作ることに情熱を注ぎました。その過程で、彼は化学の本を読み漁り、素材に関する知識を徹底的に学びます。彼は新しい分野であるプラスチックの可能性に目を向け、画期的なアイデアを着想します。
その探求心により、クリーブランドで当時ナイロンを発明したデュポン社を訪ねることとなります。デュポン社の研究所で技術者たちに自らの情熱を伝えた結果、彼らはニック氏にいくつかの化学薬品を自宅で試してみるよう手渡します。この経験が、革新的なプラスチックワームの誕生を後押しする重要な一歩となりました。

ニック氏は妻のコズマさんとともに自宅の台所に立ち、渡された化学薬品を用いて実験を開始します。ポリマーに顔料を混ぜ、油の混合物を作成するというプロセスに取り組みました。その後、自作の型を地下室に運び込み、本物のナイトクローラーを模した金型に新素材を流し込みます。この作業は何度も試行錯誤が繰り返されることとなります。
そして、数ヶ月にわたる粘り強い努力の末、1949年についに柔らかく、生きているかのような質感を持つプラスチック製ワームが完成しました。この革新により、釣りの世界に新しい風が吹き込まれ、釣り人たちの体験が劇的に向上することとなったのです。
1951年にクレーム・ウィグルワームが1パック1ドルで販売される!
ニック・クリーム氏が開発したプラスチックワームは、柔らかく生き物のような見た目を持ちながら、時間が経っても品質を保ち、空気に触れてもその状態が変わることなく使用できるという革新的な特徴を備えていました。この性能により、多くの釣り人にとって理想的な餌となり、業界に新たな基準を確立しました。

1951年、ニック氏は最初のプラスチックワームである「クリーム・ウィグルワーム」を市場に投入します。この製品は6インチサイズで、5個入り1ドルという価格で販売されました。
当時、『Sports Afield』という雑誌の通販広告を通じて郵送販売される形を取りました。このウィグルワームには、生き餌を使用する釣り人に馴染み深い3フックのハーネスが装備されており、釣り人が仕掛けを簡単に使えるよう工夫されていました。また、フックがついていない交換用ワームのパックも用意されており、使い勝手の幅広さが魅力でした。
発売当初は販売が伸び悩んだものの、転機となったのはクリーブランド・スポーツマン・ショーでの大成功でした。このショーでニック氏のワームは大きな注目を集め、数日の間に約9600パックもの販売を記録します。友人のディストリビューターがブースの水槽で製品を展示し、機能を実演したことが功を奏し、釣り人たちの関心を引きつけました。この展示により、製品の品質と可能性が広く認識されることとなりました。
クリーブランド・スポーツマン・ショーでの成功をきっかけに、製品の需要は急増。夫妻の自宅のキッチンは手狭になり、オハイオ州アクロンに小さな製造工場を設立する運びとなります。これにより生産能力が向上し、さらなる成長を目指せる基盤が整いました。
その後、1950年代後半には、クリーム社のソフトプラスチックワームの評判がアメリカ南部のバスアングラーの間で広まり始めます。ニック氏はさらなる拡大のため、事業の中心を移すことを決意。テキサス州タイラーに新たな工場を建設しました。これにより、バスフィッシングが盛んな地域での市場拡大が実現しました。
さらに、プロのアングラーがCreme ScoundrelsとShimmy Galsを使用して初期のB.A.S.S.トーナメントで優勝したことで、クリーム社のビジネスは一層注目され、本格化しました。こうした成功の連続は、ニック氏が釣り業界における確固たる地位を築く原動力となったのです。
1950年代にテキサスのアングラーがクリームワームを使ってテキサスリグを考案する!
クリーム社のプラスチックワームは、その革新性と効果の高さから、多くのアングラーの注目を集めました。特に、水中にあるブラシパイルやその他の障害物をカバーする釣り方を模索していたテキサス州のアングラーたちの目に留まり、その利用法を進化させる契機となりました。
クリーム社の現CEOであるウェイン・ケント氏によると、テキサスリグを考案したアングラーの名前は残念ながら記録に残されていませんが、この画期的なリグが1950年代にタイラー湖で誕生したことは間違いないと語っています。
このタイラー湖(現在のタイラー・ウェスト)は、ニック・クリーム氏がプラスチックワームを発明したのと同じ年に造られた広さ2,200エーカーのリザーバーです。また余談ですが、この年はスキーターボートが初のバスボートを製造した歴史的な年代でもあり、釣りの世界においてさまざまな革新が生まれた時期でもありました。
さらに、1950年代にはテキサス東部に新たに多くのリザーバーが建設され、森林地帯だった広大な土地が水没していきました。これにより、ブラックバスにとって絶好の障害物が生まれ、釣りの環境が大きく変化しました。これらの条件の下で釣りを楽しんでいたアングラーたちは、新たな戦略を模索していました。
その中の1人の匿名のアングラーが、むき出しのプラスチックワームを活用して、現在「テキサスリグ」として知られる革新的なリグを考案しました。このリグの仕組みには、ベルシンカーの真鍮アイレットを切り取った特別なシンカーが使用されており、これが釣りの成功率を高める鍵となっていました。このアプローチは障害物の多い場所での釣りに適しており、特にバス釣りにおいて非常に効果的な方法として広まりました。
こうしてテキサスリグは、釣りの新しい章を切り開く存在となり、今でもバスフィッシングの世界で広く愛用されています。
Creme Lure Companyはフィールドテスターを雇った最初のルアーメーカー
1950年代、バスフィッシングが徐々に人気を集める中、当時のアングラーたちは自身の町やコミュニティの外ではほとんど釣りに関する情報交換をしていませんでした。このような状況下で、クリーム社は釣り業界において画期的な取り組みを始めたルアーメーカーとして注目されました。それは「フィールドテスター」という新しい役割を導入することでした。

ニック・クリーム氏はスポーツ用品店やイベントで、自社のプラスチックワームを使用した釣り方やリギングテクニックを直接教えるために、フィールドテスターに報酬を支払うという革新的な取り組みを開始しました。この試みは単に製品を売るだけでなく、釣り人の技術向上や製品の正しい使い方を普及させる役割を果たしました。
彼のネットワークには、ビル・ダンスといった著名なアングラーも含まれていました。ビル・ダンスは23の国内タイトルを獲得した実績を持ち、釣り番組『Bill Dance Outdoors』の司会者としても知られる人物です。また、タイラー州で教師として働きながら釣りを楽しんでいた地元のアングラーであるビル・コールマンもフィールドテスターとして活躍しました。彼らはクリーム社の製品を広める重要な役割を担い、その実績により会社の知名度を大きく押し上げました。
さらに、1967年にはバスプロのジョン・パウエル氏と年間18,000ドルのスポンサー契約を結びます。これにより、クリーム社はプロアングラーと正式に契約を結んだ最初の企業として記録されました。この取り組みは、その後の釣り業界におけるスポンサー活動の先駆けとなりました。
時が流れ、1984年にニック・クリーム氏は惜しまれつつ亡くなります。クリーム社は息子のマイク・クリーム氏によって経営が引き継がれ、その後も成長を続けました。さらに、ニック氏に触発された現CEOのウェイン・ケント氏と妻ジュディ氏は、1965年に自宅でルアー会社を立ち上げ、「チューブワーム」を開発するという新たな挑戦を行いました。
1989年、ナイト・マニュファクチャリング社はニック・クリーム氏が亡くなった5年後にクリーム社と合併し、さらに事業を拡大。現在もクリームルアーカンパニーはオリジナル製品に加えて、新しい革新的なルアーを作り続けています。
現在のCEOであるウェイン・ケント氏は次のように語ります。「釣りというスポーツにこれほど大きな影響を与えたものは他にないでしょう。この総合的な産業は地下室で一人の男が始めたものなのです。」この言葉はクリーム氏の業績を讃え、彼の革新的な精神が釣り業界に永遠に刻まれることを示しています。
おわりに
「Creme Lure Company」ニック クリームとはどの様な人物か?の記事を最後までお読みいただきありがとうございました。プラスチックワームの歴史を遡るとゴム製のモノが作られた時代もあったのですが素材が固かった為に普及しませんでした。
しかし、ニック クリーム氏の情熱と探求心により現在、釣り人が使われているソフトプラスチックワームの原点を作られたのです。手にしたワームを見てニック クリーム氏の事を思い出してみて下さい。
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「Creme Lure Company」ニック クリームとはどの様な人物か?の記事があなたのバスフィッシングライフのサポートになれば幸いです。
では!! よい釣りを(^O^)/
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